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こちら 空冷エンジン 整備工場 その65

最終更新日2015/01/19
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いつもプレステージのポルシェ大好きブログをご覧頂きまして

誠にありがとうございます。

2015年は、年初めから寒く大雪が降っている所も多くあります。

そんな中、皆様は如何お過ごしでしょうか。

整備工場は今日も空冷ポルシェを整備しております。

空冷ポルシェはリアエンジンです。

当たり前ですが後ろにエンジンがあります。

しかもリアゲートの開口部はそんなに広くないので、

チョットした重整備はこの様に、エンジンを半下ろしまたは脱着して行います。

この車輌は、チェーンカバーよりのオイル漏れそして

オイルホースからのオイル漏れで工場に入庫しこの様な姿になっております。
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もしチェーンカバーパッキン等を、交換する為にカバーを

外す事が有るのならばそのついでに見ておきたいものがあります。

写真は993になりますが、このチェーンはカムシャフトを

回すギアを回転させます。非常に重要です。

重要が故にチェーンもギアも2重になっております。

2枚のギアは同じ形で、同じ動きをします。

ギアには丸い穴がいくつも円径に開いております。

2枚のギアは只重なっているだけです。

写真のギアには無いのですが、お車によってはこの穴に

スプロケットのピンが刺さっている物があり

2枚のギアがずれない様になっております。

ピン事態も高価なものではないので、チェックがてら

ピンを入れておくと安心です。
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今度の写真は、またチェーンカバーの中身です。

このチェーンは、使用中に伸びていく事もありますし

初めから緩く張っております。

それをテンショナーで押さえ張りつけて遊びを無くしております。

ごく稀になのですが、空冷ポルシェの中でアイドリング時等に

やたらとガラガラ音がする車輌を見かけます。

これは、チェーンが遊んでしまってカバーに触れてしまっている

可能性もあります。

テンショナーが壊れてしまったり、チェーンが伸びきってしまった場合に

起こるのですが、アクセルを踏んで加速をすると案外その音が消えるので

何となく乗り続けている人がおりますが、

チェーンが遊んだままですと、カバー等に触れ傷付いて切れてしまったり

ギアから外れてしまったりと大惨事になる事が有りますので

音が出ていれば勿論、カバーを外した時にも点検を

行えば安心です。
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場所は変わりますが、空冷ポルシェの重要な部分、

それはエンジンオイルです。

空冷と言ってもポルシェの場合、

エンジンオイルでもエンジンを冷やす油冷的な面もございます。

エンジンで熱くなったオイルをフロントにあるオイルクーラーで冷却する

構造になっております。

その為、写真は左側のエアコンホースになりますが

反対の右側には、この写真と同じように車体側面にオイルホースが

這っております。

人間でいう動脈です。

普段はサイドカバーで隠れてしまっておりますが、

ここに注意しなくてはならない事が有ります。

たまにジャッキアップする時にポイントを間違えて

ホースを潰してしまったり、段差か何かで当てたのか

曲がってしまっている車輌を見かけます。

これでは、正しい量のエンジンオイルを流す事が出来ません。

冷却効果も低下してしまいます。

オイルも正しい量が入っていて、オイル漏れも無く

オイルクーラーも正常に作動しているのに何か油温が上がり気味・・・・、

そんな場合、意外な所に落とし穴があります。
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最後の写真は、空冷ポルシェにお乗りの方なら

良く耳にするミキシングフラップモーターの中身のギアです。

これが回転して、フラップを閉じたり開いたりして温風、冷風を調整します。

これが駄目になるので温風が出っぱなしまたは冷風のみとなってしまいます。

ギアの部分に配電があり、ここに電気信号が送られ

ギアの回転角度を決め温度調整を行うのですが・・・・・・、

写真の手に持っているギアはまだ軽度ですが、

この配電が良く錆びて腐食してしまいます。

錆びて腐食すれば、電気はは流れなくなり信号はギアに届きません。

そして何も動かなくなるのです。

腐食した配電は修理出来ず、交換と相成ります。

空冷ポルシェでは、良く聞く定番交換パーツなのですが、

走る事に直接関係無いからなのか、錆び腐食に関して

何の対策も行われていない同じパーツが新品で届きます。

20年前の空冷ポルシェとは、時に根気強く付き合っていく事も

大切なのです。

それでは、また。