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こちら 空冷エンジン 整備工場 その10

最終更新日2011/09/04
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いつもプレステージのポルシェ大好きブログをご覧いただきまして

誠にありがとうございます。

9月に入りましたが、まだまだ暑い日が続きそうです。

天気も安定せず、局地的に大雨が降ったりと全く読めない日が多いようです。

そんな暑い日が続く中、電力不足のあおりを受け少しでも消費電力を

抑えるため、扇風機が大変売れたようです。

そんな中、空冷ポルシェにも扇風機ならぬクーリングファンが付いております。

良く空冷ポルシェの噂で夏は油温が上がって大変とか・・・・・・・、

聞きますが実際はどうなのでしょうか。

実際の空冷エンジンは暑さに非常に強い構造なのです。

それは、オイルクーラーにクーリングファンが付いており、

油温が上がればクーリングファンが回り冷やすので

全ての物が正しく作動すれば、日本の夏は何の問題も無く過ごせるはずです。

では、夏に弱い空冷エンジンという噂はどこから来るのでしょうか?

一つは964・993タイプより古いタイプの空冷ポルシェの場合。

オイルクーラーはフロントに付いているのですが、

クーリングファンが付いていない車両も多々あります。

これらの車両は、走っていればオイルクーラーに空気があたり

油温を下げますが、止まってしまうと空気は当たりません。

止まった状態が長く続くと・・・・・・、油温はどんどん上がります。

では、964・993タイプではどうでしょうか。

これらのタイプはオイルクーラーにクーリングファンがついておりますので

全て正常に作動すれば、油温が一定以上上がる事はありません。

964・993タイプで油温が一定以上、上がってしまう

原因は大きく括ると2つ考えられます。

その一つは、扇風機ならぬクーリングファンです。

熱くなったオイルが、オイルクーラーに来てもクーリングファンが

回らなければ、通常通り冷えません。

では、どうしてクーリングファンが回らなくなるのでしょうか?

通常であればクーリングファンそのものが故障しているのかと

思ってしまいますが、実際に調べてみますと本体が壊れている事はあまりなく

ヒューズであったり、リレーであったり、レジスターであったりと

周りの補記類の不具合で作動しなくなる事が圧倒的に多いのです。
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しかし、稀にこんな所の不具合で

クーリングファンが回らなくなる事があります。

写真のこれは何でしょうか?

そう、ヒーターコントロールユニットです・・・・・・。

室内にありエアコンを付けたり、ヒーターを付けたりするアレです。

このユニットの中にも、何故かクーリングファンを作動させる為の

機能があるのです。

どこに重要な機能が潜んでいるのか、原因を探すためには

順序よく地道に探っていくのが一番の近道なのです。
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そしてもう一つの原因がこれです・・・・・・・。

何か丸い穴からオイルが垂れてきております。

これは何でしょうか・・・・・・・・。

そうこれは、オイルサーモスタットです。

所謂、弁です。オイルの流れを止めたり止めなかったりする弁です。

これは、どこにあるのでしょうか・・・・・・?
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もう少し遠くから写真を撮ってみました。

このオイルサーモスタットは、右リアタイヤ前にあります。

このサーモスタットの役割は、エンジンオイルを

フロントオイルクーラーまで運ぶオイルホース手前にあり

オイルが冷えている内はオイルクーラーでオイルを冷やしても

あまり意味が無いので弁を閉じ、オイルクーラーにオイルを

行かせないようにします。

そして、オイルが熱くなってきたら弁を開きオイルクーラーに

オイルを流し冷却します。

このサーモスタットが正常に動いていれば、

オイルは一定温度以上上がる事はありません。

しかしオイルが熱くなってきたのに

このサーモスタットが開かず、

オイルクーラーまで熱いオイルが行かなかったとしたら・・・・・・。

油温はどんどん上がります・・・・・。
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サーモスタットの構造は比較的シンプルで、

丸い穴の中にスプリングと本体(何故か写真には出ておりません)

が入っております。

本体にはグリスが入っており熱によって膨張すると弁が開く構造に

なっております。

これが正しい作動なのですが、年月が経つとこのグリスが漏れてしまい

固着してしまう場合があります。

そうすると、オイルが流れるのを妨げてしまい油温があがります。

この様に、油温が上がるのには訳がございます。

定期的な点検をお勧め致します。
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最後の写真は、点検中に見つけました代物です。

この残骸は何だと思いますか?

これはエンジンオイル注入口にありますベローズです。

もうジャバラの部分が破けて痛々しい姿になっております。

この様なパーツも、走りには直接影響は無いかもしれませんが、

気が付いた時に変えてしまうのが良いと思います。

さあこれで、残暑を乗り切ってまいりましょう!!!!