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こちら 空冷エンジン 整備工場 その64

最終更新日2014/12/25
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いつもプレステージのポルシェ大好きブログをご覧いただきまして

誠にありがとうございます。

今年も残す所後僅かとなりましたが、如何お過ごしでしょうか。

今年は例年より寒い様な気が致します。 色々な所で大雪が降っております。

流石に雪が降ってしまいますと、お車でドライブへ行くのも大変ですが

天気の良い日は何処かに出かけたいものです。

写真の車は、964モデルになります。

空冷ポルシェの特徴でもあるリアエンジン車なので、

フロントはこの様に空っぽです。

しかし良く見て頂きますと、本来在るべきものが無くなっております。

何か分かりますでしょうか。

そう燃料タンクです。

本来、空冷ポルシェのフロントトランクルームには、

燃料タンクが鎮座しております。

結構大きな存在ですので、それが無くなりますと

この車のトランクはこんなに広いんだと感じてしまいます。

燃料タンクを取り外す事は、あまり無いことですので

以外と新鮮な光景です。
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これは取り外した燃料タンクになります。

今回この車輌は長期間乗らずに置いてあッたのですが

久々に乗ろうとエンジンを掛けてもセルは回るが一向にエンジンが掛かる気配が無い

と言うので工場に入庫となりました。

点火等は正常に行われていましたので、次に見るべきところは燃料系、

しかしフューエルフィルターを外してみたら錆びが混ざっている、

これは大変だと燃料タンクを外し確認する事となりました。

この燃料タンクは樹脂製です。樹脂製のタンクなのに、

錆がと思ってしまうかもしれませんが、出るのです。

中に残っているガソリンも古いせいなのか、

色も臭いも違います。 ガソリンも腐るのです。

今回はまだ液体として存在しておりましたが、ガソリンとしての役目は果たせなそうです。

これがもっと酷くなるとタール状に黒くドロドロになってしまう事も。

こうなってしまいますと、タンクの洗浄だけでは落としきない事もあり

最悪の場合、燃料タンクの交換となってしまう事もあります。

ガソリンは長期間放置しておくと、その量に関係なく腐ってしまいます。

一番の予防方法は、定期的に乗って頂く事でしょうか。

空冷エンジンは、水冷とは違い水を使いませんので長期間放置していても

水冷より再始動させる事は難しく有りません。

それでもお車を使用しない場合、気を付けなければいけない事はあります。

今回はそれほどの大惨事にはならず、エンジンがかかりました。
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次の写真は、フロントにありますオイルクーラーの部分です。

ご覧の通り、エンジンオイルが漏れ鈍く光っております。

オイルホースとオイルクーラーを繋いでおります部分からの漏れです。

空冷エンジンは、空冷と言っておきながらかなりの量のエンジンオイルを使い

潤滑するだけでは無く、冷却にも使用しております。

効果的に冷却する為、オイルクーラーを使いエンジンオイルを

熱くなりすぎない様にしております。

この部分は、熱による負担が多く掛る場所です。

冷却される前のエンジンオイルは負担も大きかったのでしょう。

オイルホースとオイルクーラーを繋ぐカシメの部分から

オイルが漏れてきております。

ここまで状態が悪化してしまいますと、

もう交換するしか方法はございません。
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しかし交換を行おうとすると、カシメだけの交換では無く、

オイルホースごとの交換になってしまいます。

このオイルホースは、リアのエンジンからフロントのオイルクーラーまでなので

結構長く交換するのもひと手間です。

パーツは純正品からOEM、社外品まで様々ございます。

今回はお客様のご要望により、社外製のホースで交換を行います。

パーツのコストは、純正品と比べますと半分位で済みます。

この様にパーツの種類が豊富なのも空冷ポルシェならではと言えるかも知れません。

写真はオイルホース交換後の物になります。

やはりオイルの漏れは無い方が良いです。

空冷ポルシェは、エンジンオイルで冷やす油冷エンジン、

構造上多少の滲みはしょうがないですが、完全な漏れはエンジンオイルを

無駄に減らすだけですので、そこは早目の対処をお願いしたいものです。

生まれてから20年以上経つ空冷ポルシェも、これからどんどん増えてまいります。

人間も年齢を重ねると、色々と不具合が出てきて病院に行く事も多くなってまいります。

車も同じです。

定期的な点検を行い、労って頂ければと思います。

それでは、また。