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いつも、今だから空冷エンジンでしょうを、
ご覧いただきまして誠にありがとうございます。
先日は、久々に東京にもまとまった雪が降りました。
車の外気温計も、ず〜〜っと2℃を指したままで寒い一日でしたが
如何お過ごしでしたでしょうか?
気温の低い時は、空冷ポルシェを走らせるには最高の場面なのですが・・・・
雪が降ってしまうと・・・・・・、
チョット出かけるのを躊躇ってしまいますよね。
まぁ、こればかりはどうする事も出来ない事ですので・・・・・、
今回は、空冷ポルシェのミッション・・・・、
と言っても写真のティプトロではなく
MTの事についてご案内させて頂きます。
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空冷ポルシェのMTは、4速・5速・6速と車種やグレードによって
色々種類がありました。
しかも空冷ポルシェの場合、
年式等によってギア比も若干異なる事も多いのです。
ちなみに911カレラ(ビックバンパー)は
84〜86年の911 カレラのギア比は
1速:3.181
2速:1.778
3速:1.260
4速:1.000
5速:0.789
最終:3.875
トータルギア比は
1速:12.326
2速: 6.890
3速: 4.883
4速: 3.875
5速: 3.057
となります。
これが87〜88年の911カレラになりますと
1速:3.181
2速:1.778
3速:1.260
4速:1.000
5速:0.789
最終:3.444
トータルギア比は
1速:10.955
2速: 6.123
3速: 4.339
4速: 3.444
5速: 2.717
となり
最終89年の911カレラは
1速:3.500
2速:2.059
3速:1.409
4速:1.125
5速:0.888
最終:3.444
トータルギア比は
1速:12.050
2速: 7.091
3速: 4.853
4速: 3.875
5速: 3.058
となり
年式によって、結構小まめに変更している事が分かります。
84〜86年と、87〜88年の境目はポルシェシンクロから
ボルグワーナー式にミッションが大きく変化した時でした。
しかしミッションのギア比は変えず、
最終減速比だけをよりハイギアにし
全体のギア比を高くしております。
この時は、加速性能より最高速を狙ったのでしょうか?
し
かし89年には、今度は最終減速比を変えずギア比
をより低くするという変更を行っております。
しかも、2速のギア比の変更が顕著です。
もともと、空冷ポルシェの1速は出だし以外あまり使いませんから
2速目は重要です。
そこを特にローギアにするには、発進加速をより重視したのでしょうか?
この年式の時代、他社メーカーは次々と次世代高性能モデルの
発売を開始しておりました。
ポルシェとしても、それらに負けない為・・・・・・
苦労を重ねた時代なのでしょう・・・・。
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そして、911カレラ(ビックバンパー)に代わる新しいモデル、
964カレラ2がデビューします。ギアの数は同じ5速ですが、
ギア比がまた変更されます。
1速:3.500
2速:2.118
3速:1.444
4速:1.086
5速:0.868
最終:3.444
トータルギア比
1速:12.050
2速: 7.294
3速: 4.973
4速: 3.740
5速: 2.989
となり
排気量もアップしエンジン出力も上がったためなのか、
89年式と比べるとあまり使わない1速のギア比は変えず、
2速をよりローギアに3速は若干ローギアに
そして4速・5速は逆に若干ハイギアになりました。
やはり新型エンジンの誕生は大きかったのでしょうか?
より加速性能も欲しいし、さりとて最高速も捨てられないという
欲張った設定です。このギア比は上手くいったのか、
993モデルが発売されるまで変更されずに行きました。
ちなみにこれだけでは964モデルは寂しいので
他のグレードも見てみますと
964カレラRSは
1速:3.154
2速:1.895
3速:1.407
4速:1.086
5速:0.868
最終:3.444
トータルギア比
1速:10.862
2速: 6.526
3速: 4.846
4速: 3.740
5速: 2.989
となります。
こうやって見ますと、
カレラ2とカレラRSは4速・5速のギア比に違いはありません。
しかし、1速・2速・3速は押し並べてハイギアになっております。
RSはサーキット走行を視野に入れていると思いますので、
低速ギアのハイギア化は加速性能が低下して
あまりメリットはないような気がしま
すが、
そこはポルシェなのでしょう、エンジン出力のアップ・ボディの軽量化
及びフライホイールの軽量化等、トータルのスペックアップを図り
ハイギア化を補えると判断したのでしょう。
逆に最高速等はノーマルカレラでも十分と判断したのか、
高速ギアは変更しておりません。
そして一瞬の最高速より
常時必要な中高速を重視しているとも言えます。
ちなみに、964タ―ボ2とターボ3.6のギア比は一緒です。
その内訳は
1速:3.154
2速:1.789
3速:1.269
4速:0.967
5速:0.756
最終:3.444
トータルギア比
1速:10.862
2速: 6.161
3速: 4.370
4速: 3.330
5速: 2.604
となります。
ポルシェは、ターボモデルのトルクに絶対の自信を持っているのか
ミッションの数が5なのに、4速と5速の2つのギア比が
オーバードライブギアになっております。
そして、NAモデルと比べると全体的にハイギアです。
やはりターボによる、
出力アップとトルクアップと言うのは大きいのでしょう。
このギア比であの加速ですから・・・・・、大したものです。
ただ・・・・・、
ターボ2とターボ3.6は排気量も違いますしパワーも違います。
それなのに、この2台のギア比に変更がなかったのは当時のポルシェが
このエンジンの変更によって、
全体的なボリュームアップを図りたかっただけなのか
変える必要がないと判断したのかそれとも、
元々ターボ3.6モデルは登場する予定の無かったモデル・・・・、
急ごしらえで製作したのでギアまで手が回らなかったのか・・・・・。
それは、よく解りません。
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そして、空冷最終モデル・・・・・・、993になります。
993では、勿論エンジンの出力アップ等は図られておりますが、
それ以上に大きな変更点がありました。
ミッションが5速から6速に増えたのです。
この変更のメリットは大きく、カレラのギア比を見ますと
1速:3.818
2速:2.150
3速:1.242
4速:1.242
5速:1.024
6速:0.820
最終:3.444
トータルギア比
1速:13.149
2速: 7.405
3速: 5.373
4速: 4.277
5速: 3.527
6速: 2.824
になります。
まぁ、964と比べエンジンの性能が上がりギアの数も増えたのですから、
1速目をよりローギアに
そして6速目をよりハイギアにするのは分かります。
しかし964で3速でカバーしているところを、
993では3速・4速に振り分けより細かく刻み、
ギア比をクロスさせております。
これは、ワインディングロードからサーキット走行まで、
非常に美味しい部分です。
まさに走りを楽しむ為の変更です。
ちなみにこれが993カレラRSになりますと、
1速:3.154
2速:2.000
3速:1.522
4速:1.242
5速:1.024
6速:0.821
最終:3.444
トータルギア比
1速:10.862
2速: 6.888
3速: 5.242
4速: 4.277
5速: 3.527
6速: 2.828
となり
964カレラ2とカレラRSの関係と同じく、
全体的にハイギアになっております。
ただ、6速だけは気持ちローギアになっているのはご愛嬌でしょうか?
これが、99
3ターボになりますと
1速:3.818
2速:2.150
3速:1.560
4速:1.212
5速:0.973
6速:0.750
最終:3.444
トータルギア比
1速:13.149
2速: 7.405
3速: 5.373
4速: 4.174
5速: 3.351
6速: 2.583
となり
以外にも993カレラと比べて
若干はハイギアになっている所もありますが、
その違いは964の時と比べて僅かです。
これは、
ギアが6速になった事によりポルシェとしてギア比が完成したのか、
964ターボ系違いシングルターボからツインターボになり、
よりリニアに出力もトルクも発揮されるので
NAモデルと同じように扱えると判断したため、
あえてギア比をそんなに変更しなかったのかは定かではありません。
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このように、ポルシェは時代時代の背景や性能によって
ギア比を変えてきました。
しかし、一つだけ気になる事がございます。
87年モデルから空冷最後の993モデルまで、
最終減速比3.444は変らないという事・・・・・・・。
これはなぜなのでしょうか?
意外に調べてみても分からないものです。
お分かりになる方は、是非私に教えて下さい。
私個人では、きっとファイナルギアを本当に沢山生産し
未だに使いきれていないのだろう・・・・・・、と思っております。
それではまた!!!!!
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